◆福祉
1、見えにくくなって困っているのですが、どこに相談すればいいのですか?
当たり前ですが、まずは眼科の医師に相談してください。しかし、完治せずに視力に何らかの障害が残ることになった場合に、その後の仕事や生活など様々な問題に医師が的確な情報を持っているとは限りません。治療という領域だけに関心を持つ医師が少なくないのは残念ですが現実かもしれません。
では、どこに相談に行くか?。実はこれは難しい問題です。ここなら視覚障害についてのあらゆる情報が集まっていて、どんな相談にも的確に回答を与えられる。残念ながら、そんな期待を持って相談に行くと期待はずれになってしまうかもしれません。
ただし、あなたにとっては重要な問題です。1箇所や1度であきらめるのではなく、根気よく相談をしてみましょう。以下にいくつかをリストアップします。参考にしてください。
- 名古屋市総合リハビリテーションセンター(リンク集を参照ください) 視覚支援課
- TEL : 052-835-3523
住所 : 愛知県 名古屋市 瑞穂区弥富町字密柑山1-2
主に人生の中途から視覚に障害を持った人への歩行訓練や日常生活訓練等を行っており、通所、入所のいずれも可能です。 - 各市の保健所
- 患者の会や日常生活などの相談
- 各市の障害福祉課
- 視覚障害者への各種の公的サービスや障害者手帳など、福祉全般の相談。
- 各市の社会福祉協議会
- 視覚障害者向けのボランティアサービスや福祉サービスなどの相談。
- ビギン
- 視覚障害者が自身の経験や知識をベースに相談。
2、障害者手帳の取得について知りたいのですが
実際に見えにくい、見えないという状態にあっても、障害者としての様々な公的なサービスを受けるためには身体障害者としての認定を受ける必要があります。障害の重さによって重度の1級から軽度の6級までの障害等級があります。この認定を受けたことを証明するのが障害者手帳です。
認定は基準に基づき医師が行います。まずはかかりつけの医師に相談してください。お住まいの市役所の福祉課でも相談にはのってくれると思います。
なお、自身が障害者であることを認めたくないとか、周囲の目を気にして、障害認定を望まない人もいるようですが、ぜひ冷静に考え直してください。
3、視覚障害者のための公的なサービスについて知りたいのですが
様々なサービスがあります。全国一律のサービスもあれば県や市町村単位でのサービスもあります。福祉課の窓口でぜひ一度相談してみてください。
以下に主なものをリストアップします。
- ア、日常生活用具費の支給
- 重度障害者(障害等級1級と2級)に対して、白杖、拡大読書器、音声時計、点字器、パソコン用の音声読み上げソフト、録音図書などの再生機、活字テキストの読み上げ機、など各市町村が指定する用具の購入費を補助する制度です。本人の負担は原則1割、低所得者はゼロです。多くの用具が含まれますので各市の障害福祉課でご確認ください。
- イ、障害者総合支援法に基づく各種のサービス
- 同行援護、家事援助、就労支援施設の利用、などのサービスが受けられます。
詳しくは各市の障害福祉課で相談ください。 - ウ、公共交通機関の運賃割引、民間を含む各種施設の入場料の割引など
- ご利用される交通機関の運営会社に電話でお問い合わせください。また、障害者への割引制度があるかどうかは各窓口でたずねてください。
なお、障害者手帳の提示を求められます。いつも持ち歩くようにしてください。
4、障害年金について知りたいのですが
障害年金には障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金などがあります。障害厚生年金と障害共済年金は、会社や役所に勤めている際に病気などによって障害者となった人に、障害基礎年金に加算して支給されます。なお、これらの年金支給のための障害等級認定は障害者手帳の項で述べた認定基準とは異なります。この認定基準によって年金の支給が判断されます。
詳しくは最寄の年金事務所にご相談ください。
◆生活全般
1、一人での外出が困難になって困っています
家族や友人知人などの助けを受けられる場合は安全のために歩行のガイドを受けてください。しかし、いつもこれらの人だけに頼るのは難しい場合も多いと思います。
公的サービスとしての同行援護やボランティアによるガイドヘルプの利用も検討してください。まずは、お住まいの市町村の障害福祉課や社会福祉協議会に相談してみましょう。
見えにくくなっても家に閉じこもるだけでなく、外出することで体の健康はもちろんですが、心の健康にもきっと効果があると思います。ぜひ、一歩を踏み出してみましょう。
2、家族が歩行のガイドをする場合の注意点は?
家族に限らず、見えない人、見えにくい人のガイドの基本は、
- ガイドする人のひじを、ガイドされる人が片手で軽く持ちます。
右ひじ、左ひじのどちらを持ってもらうかは、ガイドされる人の歩きやすさで決めてください。身長差が大きい場合は、ひじではなく肩でもOKです。 - ガイドする人が半歩先を歩きます。スピードは極端に遅くする必要はありません。歩きやすい速さを確認しながら歩きます。
- ガイドする人は障害物に注意はしますが、いちいち後ろを振り返る必要はありません。正面を向いて歩いてください。
- 適切に声掛けをして周囲の状況を教えてあげます。階段の前などではいったん止まって声をかけてください。
後ろから抱きかかえたり、手を持って引っ張ったりするのは危険ですし歩きにくいものです。基本を守ることで、スムーズで安全な歩行が可能になります。
3、白杖を使うと単独歩行ができるのでしょうか?
視覚障害者の人が使う白杖には以下の3つの役割があります。
- 目の前の障害物を白杖を左右に振ることで探す。
- 白杖を通じて路面の状態について知る。
- 周りの人に注意を促す。
この役割のうちで、訓練なしでできるのはウだけです。アとイは訓練が必要です。
視覚障害者が単独で歩行するためには、白杖の使い方だけでなく視覚以外の感覚、周囲の音、匂い、空気の動き、足裏からの感覚、などを総動員する必要があります。
そのためにも訓練が必要です。
よって白杖ですぐに単独歩行ができるわけではありません。ただし、ガイドされて歩く場合でも、周りの人に視覚障害者であることを知らせる事は安全のために重要です。
4、白杖を使うための訓練はどうしたら受けられますか?
白杖による歩行などを指導してくれるのが歩行訓練士です。この歩行訓練士による訓練は、国による一律の公的サービスではありません。市町村などによっては予算化した事業としてサービスを提供している場合があります。逆に言えば、そのようなサービスが受けられない市町村もあるということです。
お住まいの市役所の障害福祉課に相談してみましょう。
訓練は障害者の具体的なニーズ、たとえば近くのバス停まで、コンビニまで、などに応じて現地で練習、指導を受けることができます。
5、盲導犬を持つためにはどうすればいいのですか?
盲導犬は以前は全盲でないと持つことができませんでしたが、現在は弱視の方であっても可能性があります。以下の盲導犬訓練施設に相談してみてください。
なお、盲導犬は生き物ですから世話が必要です。この世話ができる健康状態にあることが条件になります。
また、盲導犬の育成数に限りがあるため、ある程度の待ち期間と、約1ヶ月の泊まり込みでの盲導犬とその使用者(ユーザー)との共同訓練を受ける必要があります。
- 中部盲導犬協会(リンク集を参照ください)
- 名古屋市港区寛政町3-41-1
TEL 052-661-3111
6、盲導犬を持つための費用はどれくらいかかるのでしょうか?
盲導犬は無償で貸与が受けられます。ただし、エサ代と動物病院の診察費は貸与を受けるユーザーが負担する必要があります。一般にはおよそ1ヶ月当たり1万円程度の負担がかかるようです。
なお、病気などによる特別な治療が必要な場合は別に負担が必要になります。
7、文字が見えにくくなって困っているのですが
印刷された文字を拡大して読むための機器として、拡大鏡、拡大読書器があります。また、印刷した文字を機械音声で読み上げる機器(テキストリーダー)もあります。
これらは公的な補助が受けられる日常生活用具です。
詳しくは以下へご相談ください。
- 各市の障害福祉課
- 名古屋盲人情報文化センター(リンク集を参照ください)
- 名古屋市港区港陽1-1-65
TEL 052-654-4521
8、パソコンの画面がみえにくくなったのですが
画面上の文字を拡大したり、白黒反転して読みやすくする機能を利用することができます。また音声による画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)を利用すれば、目が見えなくてもパソコンの利用は可能です。
ただし、特にスクリーンリーダーの操作では、マウスではなく、全てキーボードでの操作が基本となり、そのための習熟が必要となります。
ビギンでは、このような方を対象にパソコンの初級講座を開いています。ぜひご相談ください。
9、携帯電話の画面が見えにくくなったのですが
携帯電話は視覚障害者にとっては必要不可欠な重要な道具だと思います。通信業者や機種によっても異なりますが、音声読み上げ機能がついた携帯電話を使えば、見えにくくても、見えなくても快適な携帯利用が可能となります。
現状では、ドコモの「らくらくホン」がもっとも多く視覚障害者に使用されているようです。
通話やメールはもちろん、操作したキーやメニュー、電話帳などの読み上げが可能です。また、インターネットの利用も可能ですし、別料金がかかりますが、新聞や録音図書による読書なども可能です。また、生協が提供するオンラインショッピングなどを利用している人もいます。
パソコンの習得に高いハードルを感じている方には、より習熟が容易な携帯電話は有力だと思います。
ビギンでも相談に応じます。また、ビギンのメンバーが使っている機種であれば操作の指導も行います。
10、行事の予定などを覚えておくのが大変です。なにか良い方法はありますか?
文字が読みにくくなると手書きのメモの利用が難しくなります。
視覚障害者の人たちは以下のような方法で対処しているようです。
- フェルトペンなどによる大きな文字でメモ。
- パソコンや携帯電話でメモを書いたり、スケジュール管理機能を使う。
- 録音できる機器を使う。
- 点字によるメモや点字による入出力が可能な機器を使う。
このうちですぐに使えるのがア、比較的簡単なのがイの携帯電話のスケジュール管理機能だと思います。携帯電話は常時持っているのですから大切な予定を管理するには適していると思います。
11、読書をしたいのですが、点字図書や録音図書について教えてください
見えにくくなって読書ができなくなるというのは大きなストレスですし、人生における大きな損失です。
このような問題を解決してくれるのが、点字図書と録音図書です。このほかに対面による読み上げサービスもありますが、ここでは点字図書と録音図書について説明します。
いずれも一般の図書を点字や読み上げ録音したものです。読みたい視覚障害者の要望に応えて全国の点訳ボランティアや音訳ボランティアの手で作成され、視覚障害者は無償でその利用ができます。
このようにして全国に蓄積された点字図書や録音図書を一括管理するための組織が、サピエ図書館です。
郵送による貸し出しや、録音図書はオンラインでパソコンや携帯電話に直接ダウンロードすることも可能です。
詳しくは、以下へご相談ください。
- 名古屋盲人情報文化センター(リンク集を参照ください)
- 名古屋市港区港陽1-1-65
TEL 052-654-4521
12、点字はどこで習えますか、また習得にはどれくらいの時間がかかりますか?
点字のルールそのものはそれほど難しいものではありません。基本は小中学生が福祉実践教室の中で学んでいるくらいです。ただし、視覚障害者が指先で触読ができるようになるためには習熟が必要です。触読の練習は教える人と1対1で行うのが最も効果的です。
この方式で、ビギンの点字教室は初歩から指導しています。ご相談ください。
習得までの期間は、指先の感覚など個人差が大きいと思います。一般に若い人ほど習熟は早いようです。しかし、大切なのは反復練習を続けることで、毎日、少しずつ練習すれば1年ほどでゆっくりであれば読めるようになるようです。要は練習しだいです。
13、視覚障害者にとって便利な生活用具について知りたいのですが
私たちは技術の進歩した21世紀に生きています。その恩恵として以下のような、いろいろな視覚障害者にとって便利な道具があります。
これらのほかにもまだたくさんあると思うのですが、全てをリストアップする事は不可能です。
これらの物は、大きく宣伝されることもありませんし、一般の店では販売されていないのが普通です。そのためせっかくの便利グッズが知られていないことも多いと思います。
ぜひ、以下へお問い合わせをしてみるか、実際に訪問して試してみてください。
- 各市の福祉課
- 名古屋盲人情報文化センター(リンク集を参照ください)
- 名古屋市港区港陽1-1-65
TEL 052-654-4521
14、見えにくくなって料理などの家事に困っているのですが
ビギンのメンバーには、料理を含めて家事を行っている人もいます。また、視覚障害者のための料理講座(豊橋市ではハッピークッキング)もあります。ぜひビギンへお問い合わせください。
◆教育・訓練
1、盲学校やその他の教育、訓練期間について知りたいのですが
以下のような学校や訓練施設があります。
- 盲学校もしくは視覚特別支援学校:近隣のもの
- 静岡県立浜松視覚特別支援学校 053-436-1261
愛知県立名古屋盲学校 052-711-9554
愛知県立岡崎盲学校 0564-51-1270 - 生活訓練、就労訓練など
- 国立障害者リハビリテーションセンター
埼玉県所沢市並木4丁目1番地 〔電話〕 04-2995-3100(代)
http://www.rehab.go.jp/
日本ライトハウス(リンク集を参照ください)
京都ライトハウス(リンク集を参照ください)
名古屋リハビリテーションセンター(リンク集を参照ください)
◆就労
1、見えにくくなって現在の仕事が続けられるか不安です、どこに相談すればいいのでしょうか?
見えなくなるとどうしても未来に対して悲観的になってしまい、周りに迷惑をかけるからという理由で自発的に退職を選ぶケースが少なくありません。また周囲の同僚や会社も、目が見えにくい、もしくは目が見えない人では、何も仕事ができないのではと考えがちです。
しかし、退職するのはいつでもできます。その前にぜひ、第三者への相談をされて、冷静に対応策を考えることが大切だと思います。
視覚障害者をサポートする機器は進化しています。それに周囲の人の理解やわずかな援助があれば、慣れた職場、慣れた仕事をつづけられる可能性はあるはずです。しかし、会社と当人だけでは、冷静にそのような可能性について相談する事は難しいかもしれません。
ぜひ、以下のような機関に相談してみてください。
- 名古屋市総合リハビリテーションセンター(リンク集を参照ください)
- NPO法人タートル
http://www.turtle.gr.jp/
2、視覚障害者の人がどんな仕事をしているのか知りたいのですが
視覚障害者でもいろいろな仕事をやっている人がいます。そのような人たちを紹介しているウェブページを以下に示します。ご覧になってください。
京都ライトハウス(リンク集を参照ください)
しかし、視覚障害者でもっとも多くの人が就労しているのが、「鍼灸マッサージ」の分野でこれは、高齢化や健康への関心が高まる時代背景の中で、成長が見込める有望な分野です。
そのため、一般の人の進出も多く競争も激しいのですが、視覚障害者にとっての有力な職域である事は今後も変わらないと思います。
3、見えなくなっても仕事を続けたいのですが、見えている間に習得しておいたほうがよいものはありますか?
進行性の病気で、見えにくくなっている途中で、将来に備えた何らかの準備を行うという事は簡単ではないと思います。しかし、仮に、それが可能であれば、以下のことをお勧めしたいと思います。
それは、視覚に障害があっても、働き、日々を楽しく、幸せに生きている視覚障害者がいる、という事実を知っていただくことだと思います。
具体的には、視覚障害者の自立を支援している機関などへ足を運び、将来に向けて訓練や研修を受けている多くの仲間がいることをみたり、話を聞いたり、指導している先生などへもぜひ話をしてみてください。
もちろん、身近にそのような視覚障害者がいれば、ぜひ話をしてみてください。
未来への明かりがあなたの心の中にともったら、パソコンや点字を学ぶなどの一歩が踏み出せると思います。
◆趣味・仲間作り
1、視覚障害があっても楽しめるスポーツはありますか?
もちろん、視覚障害者にもスポーツを楽しんでいる人がたくさんいます。
ウォーキングやジョギングはもちろん、水泳、テニス、バレーボール、野球、柔道など、いろいろです。競技スポーツも、パラリンピックなどで視覚障害者が活躍していますよね。
目が見えなくても体を動かすのは気持ちいいですよね、ビギンの仲間にもテニスを楽しんでいる人もいます。
スポーツではありませんが、カラオケ、俳句、太鼓やハーモニカ、などの趣味を楽しんでいる人もいます。もちろん、読書もそうですね。
見えない、見えにくくても、楽しめることがあるのはいいですね。ぜひ、チャレンジしてみませんか。